大河ドラマ「光る君へ」の安倍晴明従者はダンサー西村大樹(DAIKI) 障害を越えて

芸能人

NHK大河ドラマ「光る君へ」も終盤戦になってきました。あまり気にならなかったのですが、ふと、安倍晴明の横にいる小さい人が気になりました。

大河ドラマのタイトルは、「光る君へ」ですが、彼が放つ何か不思議な光を感じました。なにか、そこにいるだけでオーラを感じるのです。

この方は、いったいどういう人なんだろうという思い、ちょっと調べてみたくなりました。

お名前は、西村大樹(DAIKIさん。ダンサーとしても活躍しています。西村大樹さんのプロフィール、大河ドラマへ出演したきっかけや役柄、そして活躍と思いを紹介していきたいと思います。

プロフィール

始めに、西村大樹さん(ダンサー名:DAIKI)のプロフィールをご紹介します。

生年月日:1994年6月20日生まれ
出身地:神奈川県横浜市出身
身長:128cm (軟骨無形成症という先天性疾患)
職業:プロダンサーおよび俳優(NHK大河ドラマ「光る君へ」に出演)
出身高校:神奈川県横浜秀英高等学校
出身大学:和光大学
専攻:人間科学科
趣味:自然を感じる場所に行くことやアート鑑賞
免許:保健体育の教員免許(日本の軟骨無形成症患者として初めて取得しました!)

生い立ち

自分の障害に気付く

西村大樹さんはお母さまに育てられました。

軟骨無形成症という先天性疾患を持って生まれてきましたが、お母さまは病気のことを大樹さんに告げずに、自ら気づくのを待つという作戦をとったようです。「病気だから××できないんだ。だから××をやるのはやめる。」というように、障害を理由にチャレンジをしなくならないよう、可能性を広げるために、障害の事を言わなかったそうです。

小学4年生のときに同級生よりも背が低いことから、何かが違うと思い、パソコンにキーワードを打ち込んで調べ、ご自身の障害に気付いたそうです。

そんなお母さまの「やりたいと思ったことをあきらめてほしくない」という強い思いが、今の西村大樹さんの生き方の信念になっています。

学生時代のアルバイト経験

片親だったために、少しでもアルバイトをして稼ぎたいとの気持ちから、高校、大学時代はアルバイトを探したのですが、35件も落ち、そのうちの半分は面接すらしてもらえなかったそうです。アルバイトの面接にいって大樹さんを見たとたんに「帰ってくれ」と言われたこともあるそうです。

ディズニーの「美女と野獣」を連想してしまいました。
子供のころ絵本を読んだり、映画を見たりして、その時は「人は見かけじゃなくて心だよね」って涙を流したはずなのに。

どうしても、外見で判断してしまっているってことですよね。心を見ることができない… 心は一瞬で見ることができるわけではなく、時間をかけて見えてくるものなのだからなのかな。

そして、軟骨無形成症は、難病指定はされていますが障害者手帳を交付されていないため障害者ではないのです。世間からは障害者として扱われる。でも、手帳がないために公的な支援を受けることができなかったようです。

日本は、世界中を見渡すと豊かな国に入るわけですが、なかなかどうして、福祉はまだまだ行き届かないところも多いなと感じます。

NHK大河ドラマ「光る君へ」に須麻流として出演

今回、西村大樹さんがNHK大河ドラマ「光る君へ」の出演に当たって、オーディション受けたそうです。

オーディションでは、個性的なキャリアと障がいを持つことによる独自の視点が評価され、この役柄に抜擢されました。

この大河ドラマ「光る君へ」で西村大樹さんが演じた役柄は、須麻流(すまる)と言って、陰陽師・安倍晴明(演:ユースケ・サンタマリア)の従者として登場します。

恐らく、何人もの方々がオーディションを受けに来ているなかでも採用ですから、やはり彼の持つ独特な雰囲気、そこにいるだけで何か不思議なオーラや存在感があり、安倍晴明がもつ霊的な雰囲気に花を添える役割として、ドラマ制作者の方々にも魅力的に映ったんだと思います。

須麻流は、西村大樹さんにしかできない役柄だったのかなと思います。

NHKインタビューからの引用

番組インタビュー

NHK番組インタビューでこのように発言されていましたので、引用させていただきます。
(引用:NHK ドラマをもっと楽しむインタビュー 今回の挑戦で未来への種まきができたら)

肢体の障害がある人が大河ドラマに出演するのは、「光る君へ」が初めてだと伺いました。
こういう光景を当たり前にし、次の世代、その次の世代へとつなげていく一歩を踏み出せたことを幸せに思います。

俳優としてお仕事をさせていただくのも初めてでしたし、挑戦する気持ちで撮影に臨ませていただいたのですが、気づけば1年が経過していました。

僕は表現をすることが大好きで、この場にいさせていただいています。障害の有無に関係なく、何かの理由で挑戦することをためらっている人が、大河ドラマに出演させていただいた僕の姿を見て、「自分も挑戦できるのではないか」と一歩を踏み出すきっかけになれたならば、とてもうれしいです。

本当に幸せな1年でした。

障害だけでなく、何かの理由で何かを諦めている方に向けてのメッセージに聞こえます。

須麻流がしゃべった!

須麻流は、安倍晴明と共に出演することが多かったのですが、ほとんど言葉を発することはありませんでした。

一度だけ、第10回「月夜の陰謀」で「只今、牛車が屋敷の前を通り過ぎていきました」と晴明に告げるシーンで初めてセリフをしゃべりました。

しゃべったときは、「須麻流がしゃべった!」とSNSでめちゃ盛り上がりを見せていたようです。

いつも安倍晴明の横にいるだけだったにもかかわらず、やはり存在感は隠せず、影の人気者だったのかもしれません。

そんな西村大樹の「軟骨無形成症((指定難病276))」という遺伝性の障害について、ちょっとだけ、どんな病気なのかについて触れておきたいと思います。

障害「軟骨無形成症(低身長症)」のこと

「軟骨無形成症」は、遺伝子の突然変異が原因の先天性の疾患で、成長軟骨と言われる部分の変化により、低身長や四肢の短さ、指の短さが引き起こされる病気です

2-3万人に1人くらいの割合で生まれるとされ、推定では、日本全体で5-6000人程度の患者さんがいらっしゃるようです。

低身長(成人身長は男性で約130cm、女性で約124cm程度)、手足が短くなるというだけでなく、幼少期から様々な障害が現れます。

成長と共に脊柱管狭窄の進行なども出現してくると、それに伴う症状も現れてきますが、ほとんどの場合、知的発達に影響を及ぼすことはありません。(引用:難病情報センター)

そして、残念なことに、現時点で根本的な治療法はありません

今回、「軟骨無形成症」のことを調べてみて、細かいことですが、日常生活に様々な不便があることが分かりました。

例えば、
電車に乗っているときもつり革には掴まれない
電車の椅子に腰かけるのも、結構椅子自体が高いためよじ登る必要がある、
手が短いので冷蔵庫の奥のものが取り出せないなど、、、

健常者が気づかないことがあるのだ思いました。

そして、西村大樹さんを見ていると、そういった障害や不便さがあるにもかかわらず、そんな雰囲気はまるで感じさせず、明るく乗り越えて日々過ごされていることを実感しました。

インタビューで、学生時代に大学の寮で、洗濯物を取り出そうとして出せずに、洗濯機の中に落っこちて(多分縦型の洗濯機だと思います)、足をバタバタさせているところを同級生に助けてもらったことが何度もあるということエピソードを披露していました。

もしかしたら、まずは私たちがちょっと気づくことがきっかけになり、障害を持つ人も、そして持たない人までもが愉快で楽しい日々を送れるような世の中になるといいですよね

ダンサーDAIKIとして

DAIKIさんは、障害をどのように乗り越えてきたか、と問われたとき、「ダンスとの出会いが大きかったです。中学2年生のときに不良仲間がヒップホップダンスを踊っているのを見て、楽しそうだなと思った」そうです。

そこから、ダンスの練習を始めましたが、ダンススタジオでは障害があることからついていけずに、ストリートで独学で日々練習をされたそうです。

ダンスはできるジャンルが限られ、苦労もありましたが、高校の文化祭で初めて人前でダンスと歌を披露したとき、自分に向けられる視線の質が変わったと感じました。

その時の衝撃はとても大きなものだったようです

それまでは、街を歩いているとネガティブな視線を投げかけられていると感じていたのですが、ステージに立ったら「DAIKI!」と声援を受けて、ポジティブな視線を感じました

その体験が、「ダンスを本格的にやろう」と思った大きな転換点だったそうです。

大樹さんは言っています。

今は、ダンスなしでは生きていけない、踊っているときが生きていることそのもの。ダンスがきっかけでやさしくもなれたし、人に与えられるものも何かを気付いたし、自分が前に進んでいることを実感できるようになった。」

そしてなんと、全日本高校・大学ダンスフェスティバルでは、全国3位に輝いたそうです!! すごいですよね!
正直、軟骨無形成症の方が、ダンサーって驚きました。

お母さまの、「自ら可能性を潰さずに、自分で切り開いていくようになってほしい」というその願いが、ちゃんと通じています。
DAIKIさんのチャレンジ精神に脱帽ですし、そして、そんなDAIKIさんを素晴らしいと言って応援している仲間たちがいるということだけで、嬉しくなりますよね。

現在は、活動範囲を広げるため、2023年より障害者専門芸能事務所であるアクセシビューティーマネジメントに所属しています。

そして、ストリートダンスやコンテンポラリーダンスを習得し、様々なイベントやメディアに出演し、ダンサーとして多くの人に感動を与えています。

主な活動

•  SOCIAL WORKEEERZ代表を(障がいの有無に関係なく誰もがダンスを楽しめる場を提供)

•  毎年夏に開催される「チョイワルナイト」というダンスイベントを主催(障がい者や様々な年齢層の人々が自由に楽しめる空間を提供)

•  ASIAN DANCE SPORTS GAMES優勝

障害はブランド

障害を持つ人も持たない人も同じように過ごせる環境を作りたいと西村大樹さんは語っています。障害は気を遣うものではなく、何ができて何ができないかを知り、お互いに助け合うことでよい関係、良い環境が作れるのではないかと考えています。

周囲の方々は、とにかく明るい人で、DAIKIさんがいるだけで回りがぱっと明るくなると語っています。
そして、西村大樹(DAIKI)さんはインタビューでこうも言っています。

「僕は自分の障害をブランドだと思って生きています。」

いやー。こんな言葉って、なかなか出て来ないと思いません?

障害というのはともすれば否定的な印象を持つ言葉ですが、それを肯定的な言葉の“ブランド”に置き換えてしまう。

でも、そう思えるようになるまでには、葛藤や挫折もたくさんあったようです。

そういったことが、今の西村大樹さんのような生き方や考え方を培い、ご自身の生き方まで自らの力で変えていける、本当に素敵だなと思わせていただきました。

これからも、大いなる活躍を期待いたします。

お体に気を付けて、頑張ってください。

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